フロントスタッフ趣味語り 阪和線の歴史 第10回
今回も当館フロントスタッフで鉄道に詳しい者が語らせて頂きます。
ロコ1000系主電動機
主電動機は東洋電機TDK-556-Aを4基搭載しており
設計当時の私鉄向け電気機関車としては大出力車の部類に入る。
全負荷時牽引力5175kg 全負荷時の定格速度は41.0km/hで
戦前の貨物用機関車としては定格速度が若干高めとされ
さらに弱め界磁制御に対応している。
電車と殆ど大差無い出力や大きな動輪も含めて
高頻度高速運行を基本とする電車ダイヤの中で運行を考慮した
速度重視の設計で有った事が伺える。
設計上は10/1000勾配を32km/hで上る場合の牽引重量が
615tと計算されていたが
実際の運用時の牽引定数は、勾配を控えた和泉府中以南で換算20両=200tという軽編成で取り扱われ、速度を稼げる様にされている。
駆動装置は一般的な吊り掛け式で、ロコ1001-ロコ1003の新造時の歯車比は3.96(25.99)で有る。
最も、こうした軽重量貨物列車の高速運転による酷使で歯車の摩耗が著しく保守上問題となった事から
1935年(昭和10年)の台車改造時に主歯車が肉厚の丈夫な物に交換され、歯車比も当初の3.96(25.99)から僅かながら高速寄りの3.88(17.66)に変更されている。
この改造はロコ1001・1002と同じ歯車比で竣工していたロコ1003については何故か実施が遅れたが
南海合併後の1941年(昭和16年)11月にロコ1001・1002の予備品流用で交換が実施され、走行性能の再統一が実現している。
又、此の交換工事以後の竣工となるロコ1004については、新製当初より歯車比を3.88としている。
今回はここまで、次回もロコ1000形について語らせて頂きます。